視点を全体に向けるか、一部に向けるかで物事の結果は変わるんだなと痛感させられる映画でした。
この映画は、想像通りにいかない映画。はっとさせられるシーンが多く、ディーヴァーばりの「どんでん返し」がある。
観るきっかけが、まとめサイトの【後味の悪い映画】という記事だった。それゆえに、ネタバレ済みだったんだけど、これはネタバレのない状況で観たかったな。完璧に自分が悪いんだけど、それでも面白かったからよしとする。多分、何も知らない状況で観たら、疑問点が多々生まれたと思う。
あらすじなど
主人公だと思ってたジュリアが後半から、脇に追いやられて、本当はある一人の少女視点で物語が進んでいた。その子は、自分が生まれ育った環境が自分に損益しかもたらさないことを知っている。姉は未成年でありながら、実母の恋人の子を孕む。故郷の町はかつて鉱山で栄えていたものの、その鉱山は閉鎖され寂れている。町に学校はなく、まともな教育は受けられない。それ故に悪循環。
《トールマン》は子供を殺すために誘拐したわけではない。どうしようもなくひどい環境にいる子供たちを救うことを目的に活動していた。作中でトールマンが、子供を失った母親に言ったセリフ。「自分はあなたより優れているとは思わない。ただ、あなたより世界を見てきただけだ」
トールマンは世界中で、子供に関する悲惨な状況を見てきたようで、子供たちを救うことが世界を良くする近道であると信じてやまない。
彼らの行動が傲慢であると思う一方で、とある少女のようにそういった救いを欲しがっている子がいることも事実だと認めることができる。たいへん難しい問題だと思った。物心つく前の子供が対象なら、子供に関して言えば、よっぽど記憶力のある子でなければ、それほど問題がないんじゃないかなあ…と思う。大人になって実は…という展開は、また別の話だろうし。ただ、親がなあ…。
親からしたら堪ったものじゃないよなあ。
トールマンにどんな崇高な目的や、素晴らしい実績があるかなんて、ぶっちゃけ母親や父親にとってはどうでもいい話だと思うんだよね。子供の生死が解らない上に、生きている子は親の承諾もなしに勝手に里子に出されてるわけだし。
それでも少女みたいな子からしたら、親と一緒に現状を維持するのが必ずしも最善とは言い難い…すごい難しい。どちらの良いところも悪いところも解る。何が正しいのか解らないと言った点では、怖い話。
最近多い、親による子供の虐待。傍目から見ても残酷すぎるものが多くなってきたけれど、ああいうのを見るとトールマンが居た方がいいのかも…なんて思ったり。まーでも、一概に「コレが正義」とは言えない問題だと思う。
トールマンとスレンダーマンは別なのか?
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