最初に言っとく。
めちゃくちゃ良かった。
現在公開中の「ルパン三世」の監督。
「あずみ」とか「スカイハイ」とかの人。何本も観たわけではないんですが、ノーワンはえらいツボだった。
私の萌えポイントをつきまくっていった、なんて残酷な映画なんだろうと思う。
カップルが旅行中に町のギャングに因縁つけられて、車を盗難される。
ギャングの一人が戦利品確認のためにトランクを開けると、そこには誘拐された少女の姿が。
この少女、エマという名前でオレゴン大学の学生でした。ある日行われたパーティーに参加した結果、友人14人が惨殺され、彼女自身は誘拐犯に連れ去られました。この誘拐犯というのが、カップルの男の方です。作中では誰も男の名前を直には呼ばないため、ドライバーという通称を持っています。
このドライバーさんのキレっぷりが見どころ。独自の美学を持った“一流”の殺し屋で、「やられたらやり返す」を信条に、ギャングたちをあの手この手で執拗に追い詰めていきます。もうね、このギャングたちはね…運が悪かったとしか言いようがないです。
ドライバーの殺し方は、まさに「やりすぎ」という言葉がぴったりで、ギャングたちが可哀想になってくるくらい。
バインダーがまさか凶器になるとは思いませんでした。バトロワの世界です。
えぐい・ぐろい・気持ち悪いの三拍子(というか全部一緒だった)が揃った殺害シーンですが、画面が暗いせいか、私が未だ「バイオレンスレイク」を引きずっていたせいかは不明ですが、それほど恐怖感はなかったです。標的にされてるギャングたちは生きた心地も死んだ心地もしなかったでしょうけど。
まあ、とにかくこの殺害っぷりはある意味一本筋が通っているような気がする…だから美学なんでしょう。
エマとドライバーの関係が好きです。めちゃくちゃ良かったというのは、これが理由。
キャッチコピーも珍しくいいですね。
「狂った愛が、全てを殺す」
観終わった後だと、しっくりこの言葉がハマります。
「お前が俺をどれほど憎もうと、必ず俺を救ってくれる」
と言ってから、エマの目の前で首を切るドライバーさん。ご丁寧に事前に救助法を彼女に教えておいて。
もちろんエマは見捨てることもできた、それどころか逃げることもできたにも関わらず、彼女は彼を救った。
ドライバーがどの段階でエマに目をつけたか解らない。パーティーの前だったか、それとも偶々立ち寄った中で見つけたのか。出会い方も、誘い方も口説き方も何もかもが強引で、傲慢で、残酷な方法だったけど、エマの中に僅かでも男に対する、何か憎しみ以外のものが見え隠れしているっていうシチュエーションが大好きです。
月並みな言葉ですが、「愛と憎しみは表裏一体」って言いますしね。
なんだかんだ言って、ドライバーに対して心を開いている感がね、好きです。エマ本人はすごく嫌がりそうですが。
「あなたを殺すのは私だけだから」
と、彼を助けるシーンもあるので、本当愛とか憎しみとかって何なんでしょうね。もう一緒でいいじゃない。
そういうのじゃなくてさ、二人の間に共有すべきものがあったら、それを大切にしたらいいんじゃないかな(なげやり)。
私、これは恋愛映画だと思います。純愛というやつです。
「お前を自由にする時がきた」と、男はエマを解放するけれど。
あの別れ方は、自由とは反対に「縛りつけた」だけだと思います。
エマは絶対に彼のことを忘れないだろうし…私的には今度はエマが男を探しにいってほしい。
ずいぶん爽やかな終わり方でしたが、これほど後の二人が気になった映画はないですよ。ここ一年では。
そっと触れた手のシーン素敵でしたね…。
ルーク・エヴァンスが男前すぎるんですよね、だからドライバーも映える。
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