婚約者(妻?)を殺された男が、犯人に復讐する話。
復讐者・スヒョンはイ・ビョンホン。連続殺人犯・ギョンチョルはチェ・ミンシク。ミンシクさんはきっともう、こういう役しかできないんじゃないだろうかってくらい怪演。愛する人を失ったスヒョンが、無表情でいることが多いのに対し、好き放題にやらかしたギョンチョルさんは感情豊かでその温度差が面白い。
実際の犯罪がどうかは知らないですが、当初、容疑者は四人いました。スヒョンは割と前半でギョンチョルが怪しいと睨み、単独で復讐を始めます。何がなんでも恋人を殺した男に倍返ししてやる!という意気で、その行動も「おいおい…ちょっとやりすぎじゃないか…」と思うようなことばかりです。
ギョンチョルをボコボコにしては、わざと逃がし、また捕まえてボコボコにしてまた逃がし…ということを繰り返すので、「あ、これはスカっとする映画ですね」と思ったら、ところが。
犯人も黙ってやられるような奴ではなかった。
倍返しに対する倍返し。どちらがキチなのか対決。スヒョンに対するギョンチョルの仕返しは、「失うものなんか何もないからこそできる」非道なものなのでした。
何が凄いってギョンチョルの凄まじい貪欲さ。
性欲が強く、それを満たすためなら何でもする。そのストライクゾーンの広さ。
走行するタクシーの中で運転手と乗り合わせた客をメッタ刺しにするシーンは圧巻です。
スヒョンがギョンチョルや他の容疑者に対して暴力を振るう時、躊躇も容赦もなかった。それも何考えてるんだか解んない表情かつ無言で行うもんだから、振るわれた相手はさぞ怖かったことだろう。後ろからノーモーションで襲ってくるのは怖いよ。
対してギョンチョルは、感情むき出しに行為をする。二人とも怖いけど、より悪魔に近いのは笑いながらやるギョンチョルの方なんだろうか。
タイトルの「悪魔」は、ギョンチョルをブラックバスよろしくキャッチ&リリースするスヒョンのことだと思ったけど、作中でやったことを考えるとギョンチョルがそうなんだろうな。彼の友人も類友という感じ。
くどい。
ちょっと飽きる。そんなにギョンチョルで遊ばなくてもいいのに…
だんだん、これはどうやって終わらせるんだろう…なんかどう転んでもスカっとしない気がする…いっそタランティーノみたいに爆死ネタで落としたどうだろう…と考えていた矢先、やっぱり一方にとっては後味の悪い終わり方で幕を閉じました。家族はある意味伏線だったのね。
どうせ嘘泣きなんでしょ。と誰でも解るような嘘泣きをするギョンチョル氏の告白シーンは、ぞっとしました。こういう人間って本当にいるのかしら。ミンシクさんの役作り完璧すぎるだろ…という意味でゾッと。
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