思えば去年のこの時期も、ジュディ・デンチ映画を観たような気がする…。
「感動の実話」モノ。ろくにあらすじも知らずに観に行くのはいつものことで、某コンビニのレジで予告編を目にしたのがきっかけ。デンチさんだ!よし行こう。そんな感じ。
カトリックがこの映画を批判していたのが気になっていた。なんでなんだろう?見て、なるほどと思った。そりゃ批判もするわ。批判というか、痛いところを突かれて逆切れしたように思える。映画を観た後だと。
なぜ彼らにはスルースキルがないのか…。
フィロミナ・リーは修道院にいたころ、子供を身ごもって出産。それでも修道院を出ることは叶わず、奉仕労働の合間を縫って息子との時間を楽しんでいたが、ある日、息子を奪われてしまう。長い間、なぜ息子が急にいなくなったのか解らなかった彼女だが、「修道院がお金持ちの夫婦(ここではアメリカ人とされていた)に子供を売っていた」という事実が判明する。フィロミナと彼女を取材する記者シックススミスは、息子の消息を追ってアメリカへと旅立つ。
もうねえ。人権ってなんだろうね。宗教って怖い。ラスボスのシスターの清々しいまでの極悪非道っぷりが素晴らしいよ。だって彼女(と仲間たち)からしてみれば、悪いのは「性の快楽」に負けたフィロミナたち(※フィロミナと同じような境遇の娘が大勢いる)で、自分たちは彼女たちを正しい方向に導いていると強く信じている。だから最後のラスボスシスターはあの姿勢で正しかった。これが、「ごめんなさい、あの時の私たちはどうかしてたわ…」のような終わり方だったら、逆に白けるだろうしね。「あんなものに溺れるのは馬鹿。正しくない娘たち」とブチ切れながら、自分がいかにして純潔を守り通してきたかを語るシスター老婆は本当にラスボス。たぶんこのシスターは、フィロミナに赦されたことが気に食わないと思う。
しかし、外界から遮断されたああいう閉鎖的な空間って、「聖なる場所」というよりは陰惨な感じだな。
シックススミスという男が、フィロミナのために怒ってくれたけど、当の彼女は人を憎みたくないが故にシスターを許す。シックススミスは神を信じない。神=教会(修道院)によって、フィロミナは息子を失ったのに、それでも神を信じるフィロミナに半ば呆れている。あんな目に遭ったのに…もっと怒っていいのに…。それでも自分に悪いところがあったから…という態度を貫き通すフィロミナに若干イラっとしつつも、「全てを赦す」と言えてしまう彼女を尊敬する。
洗脳ってすごいなと思ったのは内緒です。
はしゃぐデンチさん、かわいいデンチさん。しょんぼりデンチさん。ロマンス小説大好きなデンチさん。デンチファンには堪らない一作。
泣き虫と定評のある私ですが(映画観てすぐ泣くタイプ)、冒頭からラストまで泣きすぎて頭痛がして、最終的に風邪引いて体調崩しました。
2㌔痩せました。瀕死です。
フィロミナの娘時代をやっていた女優さんの演技も素晴らしかったな。
実話に忠実でなければ、フィロミナと息子を出会わせてあげたかった。観た後に邦題を読むと、色々悲しくなってしまうよ。
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