自殺したい!自殺させろ!自殺最高!な世界が舞台の、そういう感じの話。
トゥヴァシュ一家は自殺用品専門店を営んでいる。その店に自殺用具を求めてやってくる客と、客にめいっぱいのセールスをする一家のお話。ティム・バートン臭がするよ、ミュージカル映画です。アニメね。あとコメディー。
明るいネガティブ。死ぬことに一所懸命。死んでからの生活が楽しみで仕方のない人たち。
「生きてたっていいことない、だから死のう」、死ぬことに対しては前向きな意見を持っているという矛盾を楽しみましょう。
トゥヴァシュ家に生まれた末っ子アランは、一家のメンバーに疎まれている。なぜなら彼はいつもニコニコ、生きることに前向きで、兄や姉、両親たちにもそうなってほしいと思っている。両親は家業のこともあって、アランに明るく振る舞ってほしくないでいる。そんなわけで、アランにはきつくあたってしまう。なんでこの一家(特に両親)が、そんな因果な商売やってるのか、明確な理由も説明されない序盤は、アランに対する一家の行動&言動にかなり不快になりました。だったら避妊すればよかったのに、とか。
それでも「本当はこんな仕事やりたくないけど、苦しんでいる人を天国へ導いてあげたい」という心理から、用品を売っている両親たちの説明が出ると、(本当は腑に落ちないけれど)納得せざるをえない。そもそもの世界状況が、正常ではないので、たとえ一家のエゴイズムであってもきちんとした理由になる。
アランは一家に商売を止めさせたくて、同じように生きることに前向きな友人たちの協力を得て、ある作戦を実行し……紆余曲折あったけど成功して、おしまい。
「生きるってすばらしい!」という雰囲気でエピローグへ向かう中、「おいおい、それじゃ死んじゃった人たち可哀想じゃないかい」と思っていると、自殺した人たちの霊が登場し、悔しそうにしつつも納得し昇天していきます。正直、この演出は上手だと思いました。
一家が商売を止めて、新しい事業を始めた結果として、自殺する人は減るでしょうが、それでもあの世界だったら他の方法が次々現れそうで怖いです。自殺に懸けるエネルギーが、生への執着より高いという表現が面白い。
トゥヴァシュ家のキャラクター名は、自殺した著名人に因むそうです。
アランの姉マリリン、父ミシマ。マリリンはまあいいとして、ミシマは…三島由紀夫に因むようで、日本刀持ってアランを追いかけ回したり、必要以上に「ハラキリ!セップク!」を連呼したり…あっこれが笑うところですか、笑えるかもしれないけど、ちょっと不安定な感じがします。卑怯だよ…。なんでフランス人なのにミシマなんだろう、って理解するまでずっと考えてました。でもミシマ好き。
アランの影響を受けて、根暗だったマリリンが段々と明るくなって綺麗になっていく過程が好き。彼女は運命と出会い、恋人(クレープ焼くのが上手)が出来て、ワーヨカッタネー状態なんですが、なんか長続きしなさそう(笑)と思ってしましました。しかたない。
絵がちょっと、ゲゲゲの人っぽいような気が。
内容&絵柄も、好き嫌い分かれそう。
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