画家ルノワールの晩年を描いた作品。
私自身はルノワールの絵はあまり好みではないのですが、なぜかこの映画の予告を観た時に「これは行かなければ!」と思ってしまいました。
予告はyoutubeとかに落ちてると思うので是非ご覧になってください。
「私の絵に暗い色はいらない。気持ちのよい愉快な色で描かれなければならない」
という科白が、印象に残ったからだと思います。あと音楽。
これを観ないと今年は終われない…!と何故か思いました。
画家が登場する映画はいくつか観ました。「宮廷画家ゴヤは見た」「レンブラントの夜警」「カラヴァッジョ」「ヘンリー・ダーガー」(ちょっとジャンルが違うような気がする)など。
もともとレンブラントやカラヴァッジョの絵が好きなので、映画もごく自然な流れで鑑賞。内容はまた別の話。
特にゴヤなんかは、もう一回観たいけど、耐えられないシーンが多くて観る気がない。
で、ルノワール。
ルノワール先生は、妻に先立たれて絵を描く気を亡くしていましたが、デデという女性の登場で再びキャンバスに向かいます。デデは女優志望の女で、死んだルノワール夫人に頼まれて画家の元へ現われました。
「死者が送ってきた娘か…君とならまた絵が描けそうだ」と、画家はやる気になります。
画家はデデの体を絶賛。「光を吸いこむ美しい肌」と称します。素行や言動にちょっと問題のあるデデですが、裸婦のモデルとして、画家の前にいると、その美しさに何も言えなくなります。ただ喋るとダメ。
画家には三人の息子がいて、長男は俳優、次男は軍人、三男は学校に行かず(行かせてもらえない)家にいる。この三男がかなりの美少年でした。デデにちょっかいを出す様子が微笑ましい。でも、絵のモデルをやっていることに対して嫌悪感を抱いている様子。
次男のジャンが、デデと恋に落ちる、といのもこの作品の見どころです。ジャンは前線で負傷し、療養しに家へ戻ってきました。足が治ったらまた戦場へ戻る、といい、父である画家と喧嘩します。画家は、息子に死んでもらいたくない一心で彼を引きとめる。そりゃ誰だって、家族には死んでほしくないでしょう。一度、生死を彷徨った息子相手なら尚更…死んでほしくないという思いが強いはず。
画家と次男、すごく仲が悪いかと思ったらそんなことはなく…むしろ、画家と三男の関係が危ういように思いました。年齢だけみると父と子というより、老人と孫だしな…。
画家は病を患っており、車椅子生活をしている。足や手のいたるところが腫れており、夜毎、苦痛に苛まれている。それでも彼は絵を描くのは止めなかった。そこまでするモチベーションって?何らかの使命を感じていると?
「この年でピストル自殺でもしてみたまえ。自惚れだと思われるぞ」と笑いながらジャンに語る画家は、ただ描きたいから描いている、そういう人でした。そして、自身の絵には暗い色なんていらない。現実とは違うのだからと語ります。絵に関しては、本当に楽しそうに語る人。モデルがどんなことをしていようが、まったく興味を示さない。ストイック。芸術のために生きているような人と思いました。それと、亡き奥さんへの愛と、息子たちへの愛。
劇中でルノワールがやたら、ある画家の名前を言っていたのに失念しました…フィ…フ…なんだっけ(´;ω;`)
戦場へ戻ろうとするジャンとの抱擁シーンに涙。
脳内で「クララが立ったー!」ばりに一人で盛り上がってました。
デデはあんまり好きになれない。
ジャンといちゃいちゃするのは構わないんだけど、画家の皿割ったり、ジャンとのピロートークで画家の遺産をあてにするような話したり、とね。めんどくさい女だね。と私は思った。
それとこの映画を見て知ったことなんだけど、次男ジャンは映画監督だったんですね…。
フレンチ・カンカンとか名前は聞いたことあるんですが未見でした。
いいところ
・なんだか懐かしい気持ちになる音楽。胸が詰まるとはこのこと。
・美しい風景と美しい裸体。二つが合わさると素晴らしい芸術が生まれることを知りました。でもデデは口を開くな。
・おじいちゃんかわいい。
わるいところ
・ちょっと眠くなる。
与えた影響
・ルノワールの絵を見る姿勢が変わったように思えるが、好みとは別の話。
今度はゴッホの映画やるようですね。
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