まずタイトルが良い。原題読んでも意味がわからない。
ジャケ買いではないけど、内容も出てる人もよく知らずに映画を観ようと思ったのは、この邦題のおかげ。そして観終わった後では、これほど世界観をよく表現しつつコンパクトにまとめたなと思う。長すぎず、短すぎず。
雰囲気がかなり好き。
北欧の小さな村が舞台。少女の体が、彼女の意思とは別に他の何かに変わっていく。それは、人間としての成長ではなく、別の生き物の形をしていた。
自分の秘密を、自分以外のすべての人間が知っていながら、誰からもその正体を教えてもらえず、変わっていく体や心の相談も出来ず、半ば自暴自棄になりながらも、それを受け入れなくてはいけない苦しみと悲しみ。
マリーにとって、きっと地獄のような日々だった。彼女の母もそうだったと思う。彼女たちが、どういった種族なのか、結局のところは解っていない。生まれた時から、そういう生き物だったのか、それともどこかで変わってしまったのか、当たり前のように彼女たちを受け入れる村人たちは、二人以外の者を知っていたのか…マリーと母の存在を考えれば考えるほど、消化したかった問題の答えがなく、もやもやします。
誰が悪いということはないんだけど、道徳的に考えるか、主人公目線で考えるかによって、「この人物があんなことしてなければ」と思ってしまう。誰が悪役なのかを突き詰めていっても、辛いものしか残らないようです。
父に関してもっと掘り下げてください。
どういった出会いがあって、二人が結ばれたのか気になります。マリーとダニエルのような関係であったとしたら、若い二人の将来も中々悲惨なものになってしまうんだろうか。
「ぼくのエリ」と似てる、と書こうとしたらパンフレットに同じようなことが書いてありました。吸血鬼を人狼に置き換えたものだね。
泣きたくなるほど綺麗な景色と、(私的には)最初はそうでもなかったのに段々と恐ろしいくらい美しくなるマリー、悩み続ける父親(というかラース・ミケルセン)が良し。嫌なシーンではあるけれど、浴槽に沈んだ母親をマリーが見つけるシーンは、ぞっとするほど鮮やかだった。
この時点で、さっさと村民たち惨殺しろよ…とアホなこと考えてたわけですが、いわゆるスカっとするような復讐劇はありませんでした。
雰囲気良好。
決して幸せな物語ではないけれど、自分的にはかなり好み。
たいへん萌えた。
全然関係ない話をするけれど、もし『ヴィンランド・サガ』が実写化されたらアシェラッド役を、ラース・ミケルセンに演じてほしいです。ぴったりだと思う。
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