怪人はメタル歌舞伎。
未来の大スターを目指して、俳優育成キャンプ(照明や音響もある)に集まった若者たちと、キャンプ主催者であるオッサンと、その養い子である兄妹(逆かも)。
兄妹の亡き母親は有名なソプラノ歌手。十年前に行われた「オペラ座のたたり」という舞台の初日終了後、何者かに殺された。そして十年後、設定を変えた「オペラ座のたたり」が公演されることになり、養い子の妹・カミーラは調理係(正規メンバーでない)にも関わらず、ヒロインの座を手に入れる。それが、始まり。
まあ、ねえ。ほんっと、登場人物揃いも揃って碌でもない奴らばかり。殺された母親もビッチ、娘は脳が足りない系(ずっと見てると不安になってくる顔立ち)、劇団員の底意地の悪い感じが気持ち悪く、中でも酷かったのがアーティとかいう監督係。オペラ座の怪人に新要素を加えるということで、モチーフにしたのが日本の歌舞伎。これはいい。だけどその発表の最中に性的なスラングが出てくる。OTAKU文化ではよく目にする文字ではあるけれど、映画で観たのが初めてだったので驚いた。よく知ってるなあ。
アーティの所業。ヒロインはダブルキャストなんだが、初日主演をエサに二人の女とアンナコトやコンナコトを満喫。カミーラも初日に主演として舞台上に上がりたいがために、女の武器を使う。このカミーラに対し、照明係の青年が
別に付き合ってもないのに大変嫉妬して妨害したり、勝手に失望する。ゲイの演出家や端役の子たちに、「母親は枕営業で有名だったんだ」と噂され、馬鹿にされていたのに、カミーラに実力があると解ると掌返し。「母親は初日に殺されたんだって!」と面白おかしく話す子供たちが気持ち悪い。私にディスクを割る権利があったら、叩き壊していたかもしれない。
こんな調子で前半は総茶番。
それが、とある男の登場で一変する。
サマーキャンプにはしゃぐ若者を横目に、歌舞伎マスクを被りBGMにメタルを流しながら登場する怪人。その温度差が大きくて、私は気づいた。これはホラー映画ではなく、コメディであると。
メタル歌舞伎男は、スプラッター担当です。彼が現れるシーンだけが頼みの綱。
良い意味でふざけた男のおかげで最後まで観ることができた。最終戦でギター弾きだした時は、腹がよじれんばかりに笑った。怖いとかじゃない。面白いの。
ヘラヘラしてた若者たちが、唐突に表れた男の手によって惨殺されていくのが、こんなにコミカルでいいのか。
多くの箇所で、生理的に気持ち悪いと思ったのですが、一番ダメだったのは、マーティが死んで逃げだそうとする若者たちをオッサン団長が説得するシーン。
「人が死んだのに、歌ったり踊ったりしていいの?」という問いに、オッサンは何をトチ狂ったのか、「はじめてミュージカルを見たときのことを覚えてるか?」と切り出す。言いたいことは何かと言うと、「ミュージカルを見れば辛い現実を忘れさせてくれる。だからこのまま初日を迎えよう」。バカなのかな?
でもそれを、目をキラキラ輝かせて聴いてるわけです。本当気持ち悪い。こういうの何ていうか知ってる、カルトだわ。オッサンも劇団の立て直しに必死なのかもしれないけど、これで同情の余地がなくなったね。
ちなみにオッサンはミートローフさん。流石、声は綺麗。オッサンの歌だけ聴きたい。他はどうでもいい。
死んだ母親は、ジェラルド・バトラー版「オペラ座の怪人」でカルロッタを演じていたミニー・ドライヴァー。やっぱりカルロッタだった、結局は。
PR
COMMENT